※本記事にはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト等)が含まれる場合があります。

「テルがいなくなる」と聞いて、胸がざわついたあなたへ
佐藤輝明選手が、今オフにポスティングシステムを利用してメジャーリーグに挑戦することになりました。球団が容認したことが10月19日に報じられ、嶌村聡球団本部長は「MLBへの挑戦を後押しする」と語っています。
今季の佐藤選手は、打率.306、39本塁打、106打点で自身初の三冠王に輝きました。プロ野球史上9人目の快挙です。リーグ連覇の中心にいた主砲が、来季はタテジマを着ていない。頭では「おめでとう」と思っていても、心のどこかで「じゃあ来年の4番は誰が打つの?」と不安になった方も多いのではないでしょうか。
私自身も、そのニュースを見た夜はなかなか寝つけませんでした。打席に立つだけで甲子園の空気が変わる、あの感覚がなくなるのかと思うと、さびしさと心細さが一緒に押し寄せてきたのです。
元阪神の糸井嘉男さんは10月26日、「世界の佐藤輝明」になってほしいとエールを送り、「大谷翔平クラスの人材」とまで評価しました。送り出す側の気持ちとしては、まさにその通りだと思います。
送り出すさびしさと、残されたチームへの不安。両方を感じていいんです。
この記事では、その不安の正体を整理しながら、来季の阪神打線にどんな希望があるのかを、具体的な選手の名前とともに一緒に見ていきます。
問題の本質は「三冠王の穴」を一人で埋めようとしてしまうこと
佐藤選手の移籍で多くのファンが心配しているのは、「4番・三塁」という2つのポジションがいっぺんに空くことです。ただ、私は不安の本質はもう少し別のところにあると考えています。
それは、私たちファンも、そしてチームも、「佐藤輝明の代わり」を一人の選手に求めてしまいがちだという点です。打率3割、40本近い本塁打、100打点を超える打者を、翌年すぐに用意できるチームはほとんどありません。もし「ポスト佐藤輝」と呼ばれる選手に、最初から同じ数字を期待してしまえば、その選手は数試合打てないだけで「やっぱり足りない」と見られてしまいます。
大切なのは、三冠王が残した数字を「チーム全体で取り返す」という発想です。本塁打は複数の選手で分け合い、打点は打線のつながりで補う。そう考えると、見える景色が変わってきます。
一人の代わりを探すのではなく、チーム全体で新しい形をつくる。そこに来季の勝負があります。
不安が大きくなる3つの原因
原因1:中心打者の存在感が大きすぎた
今季の阪神打線は、良くも悪くも「佐藤選手がいる打線」でした。相手投手は4番を最も警戒し、その前後の打者との勝負を選ぶ。その構図があったからこそ、周りの打者が楽に打てた場面もあったはずです。
中心がいなくなると、相手の警戒は残った打者全員に分散されます。これまで「佐藤選手の前後」で勝負されていた選手が、真正面から攻められるようになる。数字以上に、この「打線の重心」が変わることが、ファンの不安を大きくしているのだと思います。
原因2:来季から打線の組み方そのものが変わる
セ・リーグは来季からDH制を導入します。打線に打者が1人増えるため、4番だけでなく、1番から9番までの役割分担も見直されることになります。
佐藤選手の穴を埋めるだけでなく、DHという新しい枠も含めて打線を一から組み直す。その作業が同時に起きるので、「来年の打順が全然想像できない」と感じるのは自然なことです。
原因3:若手にはまだ一軍での実績が少ない
「ポスト佐藤輝」の候補として名前が挙がる選手の多くは、まだ若く、一軍での実績を積んでいる途中です。期待はあっても、計算が立ちにくい。それが不安の正体の一つです。
ただし、裏を返せば「伸びしろしかない」ということでもあります。実際に、その若手たちが秋の実戦で結果を出し始めています。
不安の正体が見えれば、それはもう「期待」に変えられます。
解決の道筋:若い力と新しい指導体制
立石正広選手の「4番・三塁」での猛アピール
10月27日、宮崎で行われたフェニックス・リーグの楽天戦で、立石正広選手が「4番・三塁」で先発出場しました。0対5の6回に左翼席への本塁打を放つと、3対5で迎えた9回2死一、三塁、中堅フェンスを越える逆転サヨナラ3ラン。1試合2本塁打で、チームは6対5で勝ちました。
本人は2本ともカウントが有利だったことを挙げ、「割り切っていけたのが良かった」と振り返っています。佐藤選手が務めた「4番・三塁」という同じ場所で、劇的な一打を見せてくれたことに、私自身も思わず声が出ました。
高寺望夢選手の遊撃コンバート
もう一人、注目したいのが高寺望夢選手です。藤川監督が10月25日に遊撃へのコンバートを明言し、翌26日の巨人戦では遊撃でスタメン出場しました。今季は左翼で26試合、中堅で42試合に出場し、遊撃での出場はなかった選手です。
この試合では守備機会が8度あり、9回には二塁手との連係で併殺を完成させました。8回には小雨の中でイレギュラーした打球を取り損ねて失策もありましたが、本人は「やるからには責任を持って、やるだけかなと思います」と話しています。内野の形が変われば、三塁や一塁、DHの使い方にも選択肢が広がります。
坪井打撃コーチの「伏兵を独り立ち」
10月26日には、坪井智哉さんの1軍打撃コーチ就任が発表されました。テーマとして掲げたのは、若い「伏兵」を一本立ちさせること。俊足巧打の若手として高寺選手や福島選手の名前を挙げ、「いやらしさ」を出せる選手を育てたいと語っています。
長打の柱だけでなく、つなぐ打者、足を使える打者が増えれば、三冠王の穴を「チーム全体で取り返す」形に近づいていきます。藤川監督も2029年までの契約延長が決まり、腰を据えて新しい打線づくりに取り組める環境が整いました。
主役が抜けた舞台には、必ず新しい主役が立ちます。
今日からできる、ファンとしての具体アクション
アクション1:佐藤選手の今季の名場面を振り返る
まずは、三冠王のシーズンをしっかり味わいましょう。印象に残った本塁打、勝負を決めた一打を見返して、「ありがとう」の気持ちを整理しておく。気持ちよく送り出せたファンほど、新しいチームを素直に応援できると私は思います。
アクション2:フェニックス・リーグの結果をチェックする
立石選手の打撃、高寺選手の遊撃守備など、若手の動きは秋の実戦で見えてきます。スコアだけでなく、誰がどの打順・守備位置で出ているかに注目すると、首脳陣の考えが少しずつ見えてきます。
アクション3:DH制込みの「来季の打順」を書き出してみる
紙とペンを用意して、来季の打順を自分なりに組んでみてください。4番は誰か、三塁は誰か、DHに誰を入れるか。私自身も書き出してみたところ、思っていた以上に候補が多く、不安よりもわくわくが勝ちました。家族や友人と見せ合えば、オフの楽しい話題になります。
アクション4:メジャーでの佐藤選手を応援する準備をする
ポスティングの行方は、これからの交渉次第です。どの球団に決まっても、海の向こうで戦う佐藤選手を応援できる楽しみが増えると考えれば、来季の野球観戦は二倍楽しくなります。
応援する選手が一人増えると思えば、さびしさは少しだけ誇らしさに変わります。
三冠王が抜けるのは、確かに大きな変化です。でも、その穴を若い力と新しい指導体制で埋めていく過程こそ、ファンにとって一番見応えのある時間なのかもしれません。私自身も、立石選手のあのサヨナラ弾を胸に、来季の新しい阪神打線を楽しみに待ちたいと思います。一緒に、次の主役が生まれる瞬間を見届けましょう。


コメント