佐藤輝明メジャー挑戦容認|阪神ファンの不安と来季の希望

阪神タイガース

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「テルがいなくなる」…その寂しさ、私も同じです

10月19日、阪神タイガースは佐藤輝明選手のポスティングシステムによる米大リーグ移籍を容認したと発表しました。球団から本人に伝えられたのは前日の18日。佐藤輝選手は「自分の思いを尊重していただいた球団に、感謝しています」「ファンの皆さまの温かいご声援にも心から感謝しています」とコメントしています。

このニュースを見て、胸がざわついた方は多いのではないでしょうか。CSファイナルステージでDeNAに4連敗し、日本シリーズへの道が閉ざされたのが17日。その悔しさが消えないうちに、今度は三冠王が海を渡るかもしれないという知らせです。

私自身も、阪神ファンを40年続けてきて、こういう「心の置き場所がわからない秋」を何度も経験してきました。井川慶投手がポスティングでヤンキースへ旅立ったときも、喜びと寂しさが入り混じって、しばらくスポーツ紙を開くのが少しつらかったのを覚えています。

ただ、今回は少し違う感覚もあります。2020年度ドラフト1位で入団した若者が、昨季は40本塁打・102打点で二冠とMVP、今季は打率.306、39本塁打、106打点で史上9人目の三冠王。球団としてはバース以来40年ぶりの三冠王です。私が虎党になった頃に甲子園を沸かせていたあのバースと、同じ景色を見せてくれた選手なのです。

寂しいのは、それだけ本気で応援してきた証拠です。

まずはその気持ちを、無理に押し込めなくて大丈夫です。そのうえで、ここから先の阪神をどう見ていけばいいのか、一緒に整理していきましょう。

本当の問題は「穴の大きさ」ではなく「頼り方」にある

「三冠王が抜けたら、来年は勝てないんじゃないか」。多くのファンが真っ先に抱く不安だと思います。

もちろん、得点力が落ちるのは間違いありません。嶌村球団本部長も、三冠王の得点力を失う影響について「賛否両論あると思いますが、総合的判断を下した」と語り、容認は「球団にとっても、非常に重く、かなり難しい決断であった」と明かしています。

ただ、40年見てきた私の実感として、チームが本当に苦しくなるのは「大物が抜けたとき」そのものではありません。本当に怖いのは、主砲がいる間に「次」を育てきれていないことです。

実は今回のCSは、その課題をはっきり見せてくれました。佐藤輝選手がいても、DeNAとのファイナルステージは2-0、1-0、4-0と3試合連続の無得点。最終戦も5-4とリードして迎えた9回に逆転されました。藤川監督も試合後に「本当にこちらの責任ですね。申し訳ない」と頭を下げています。

つまり、テルがいても勝ちきれなかった試合がある。言い換えれば、「テルがいるかどうか」だけで来季を占うのは、問題の本質から少しずれているのです。問われているのは、チーム全体の層の厚さと、一人に頼らない得点の作り方だと私は考えています。

ファンの不安が大きくなる3つの原因

では、なぜここまで不安が膨らむのでしょうか。原因を3つに分けて整理してみます。

原因1:失うものの「数字」があまりに大きい

打率.306、39本塁打、106打点。この数字を一人で埋められる選手は、どの球団にもそうはいません。しかも6年間すべてでAクラス入りし、在籍中に優勝3度と日本一も経験しています。実績が大きいほど、「いなくなった後」の想像はどうしても暗くなります。

数字の大きさは、そのまま不安の大きさになりやすいのです。

原因2:CSで「選手層の薄さ」を見てしまった

先ほど触れたように、CSでは打線が3試合続けて沈黙し、終盤の継投も苦しみました。藤川監督自身、神宮投手、木下投手、工藤投手がときにイニングをまたいで勝ち星を拾ってきた形について「最後まで苦しかった」ことを認めています。

一番悔しい形で終わった直後だからこそ、「このうえ主砲まで抜けるのか」という気持ちが重なり、不安が何倍にも感じられるのだと思います。

原因3:「次の主役」の名前がまだ実感になっていない

報道では、代役の4番は森下翔太選手が最有力、三塁は2年目を迎える立石正広選手と伝えられています。名前は挙がっていても、ファンの多くにとってはまだ「テルの代わり」というより「これから育つ選手」という印象でしょう。

私自身も、新しい主役は「名前を知っている」段階から「この人なら打ってくれる」と信じられる段階に変わるまで、ずいぶん時間がかかるものだと感じてきました。

不安の正体は、期待する相手がまだ見えていないことなのかもしれません。

解決の道は「一人で埋める」発想を手放すこと

ここからが大切なところです。三冠王の穴を、誰か一人で埋めようとする必要はありません。球団もそう考えているようです。

球団は「あらゆる手段」で補強へ

嶌村本部長は19日の会見で「あらゆる編成の手段を講じる」と語りました。報道によると、来季から始まるDH制に備えて長打力のある外国人選手を優先して獲得する方針で、西勇輝投手以来となる8年ぶりのFA参戦も辞さない構えです。しかも、これは移籍が決まって慌てて立てた計画ではなく、以前からの計画に基づくものだと説明しています。

粟井球団社長も18日、若手の出場機会を減らすのではなく「ハードルが上がるような編成にしたい」という趣旨を語っています。基本は「育てながら勝つ」。この軸がぶれていないことは、ファンとして大きな安心材料です。

森下・立石の「伸びしろ」に目を向ける

森下選手はCS最終戦でも2打席連続本塁打を放ちました。結果的には空砲になりましたが、大舞台で打てる力があることは示してくれました。4番を任されれば、その責任感がさらに大きな成長につながるはずです。

立石選手はいま宮崎のフェニックス・リーグに再合流し、実戦を重ねています。2年目の大きな飛躍が、来季の阪神の鍵を握ると言っていいでしょう。

若虎の「爆発」はもう始まっている

藤川監督はオーナー報告の席で、来季の選手たちに「たまっているものを爆発しろ」とメッセージを送りました。それに早速応えたのが、育成から支配下登録をつかんだ嶋村麟士朗捕手です。19日のフェニックス・リーグ日本ハム戦で3安打を放ち、「輝さんに追い付け追い越せと思ってやっています」と語りました。今季、佐藤輝選手から打撃のアドバイスを受けていたそうです。

テルが残していくのは「穴」だけではなく、後輩たちに手渡したバトンでもあるのです。

今日からできる、阪神ファンとしての具体アクション

最後に、不安な気持ちを前向きな応援に変えるために、今日からできることを4つご紹介します。

1.ポスティングの日程を把握しておく

ポスティングの申請期間は11月1日から12月15日までです。また、MLBの現行労使協定は12月1日(米国時間)に失効するため、交渉の行方にも影響が出る可能性があります。日程を手帳やスマホのカレンダーにメモしておくだけで、ニュースに一喜一憂しすぎず、落ち着いて見守れるようになります。

2.フェニックス・リーグの結果をチェックする

いま宮崎では、立石選手、岡城快生選手、そして20日から合流した高寺望夢選手らが実戦を重ねています。高寺選手は「もっと強い打球を打ちたい」と肉体改造にも取り組む考えです。1試合ごとの結果を追っていくと、「次の主役」の顔が少しずつ見えてきます。

3.補強ニュースは「ポジション」で読む

今後、外国人選手やFAの話題が出てきたら、「誰が来るか」だけでなく「どのポジションの、どんな役割か」に注目してみてください。DH、三塁、長打力。この3つのキーワードを頭に置いておくと、球団の狙いがぐっと読み取りやすくなります。

4.テルの挑戦を、胸を張って送り出す

嶌村本部長は「誇りに思っている。ぜひ、頑張っていただきたいです」とエールを送りました。私たちファンにできるのも同じことです。SNSでのひと言でも、家族との会話の中でも構いません。「行ってこい」と背中を押す言葉を、ぜひ声に出してみてください。

送り出し方にこそ、虎党の誇りが表れます。

まとめ:寂しさの先に、新しい阪神が待っている

佐藤輝明選手のメジャー挑戦容認は、阪神ファンにとって大きな節目です。寂しさも、不安も、ごく自然な気持ちです。

ただ、問題の本質は「三冠王の穴」そのものではなく、チーム全体でどう点を取り、どう層を厚くするかにあります。球団は補強と育成の両輪で動き出し、若虎たちもすでにバットで答えを出し始めています。

私自身も、40年のあいだに何人もの主力を見送ってきました。そのたびに「もう終わりだ」と思い、そのたびに新しいヒーローが現れて、また甲子園で声をからしてきました。

リーグ3連覇へ向けた新しい物語は、もう始まっています。一緒に、その最初のページから見届けていきましょう。

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