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はじめに:嬉しいはずなのに、なぜか落ち着かないあなたへ
いよいよ明日、10月14日。甲子園でクライマックスシリーズ・ファイナルステージが幕を開けます。
10月3日の夜、広島に敗れたあとの「待ちV」で決まった2年連続8度目のリーグ優勝。2リーグ制になってから球団として初めての連覇です。御堂筋での優勝パレードも11月23日に決まり、本来なら浮かれっぱなしでいいはずですよね。
それなのに、どこか胸がざわざわしている。そんな方、多いのではないでしょうか。
「CSで負けたら、あの143試合は何だったのか」 「DeNAは勢いがあるし、なんだか嫌な予感がする」 「去年の日本シリーズの悔しさを、もう一度味わいたくない」
私自身も、まったく同じ気持ちです。阪神ファンになって40年。1985年の日本一の余韻がまだ残っていた頃から、甲子園の浜風とともに一喜一憂してきました。その40年のほとんどは「優勝できない悔しさ」との付き合いでした。だからこそ、勝てるチームを応援している今の幸せと同時に、「この幸せが一瞬で崩れるのでは」という怖さも人一倍感じてしまうのです。
不安になるのは、それだけ本気でこのチームを愛している証拠です。
この記事では、その不安の正体をきちんと言葉にして、明日からの6試合を「怖がる」のではなく「楽しみ切る」ための視点をお伝えします。
問題の本質:私たちが怖いのは「負けること」ではない
まず、はっきりさせておきたいことがあります。
私たちが本当に怖がっているのは、DeNAという相手でも、阪神の戦力でもありません。「短期決戦では、実力どおりの結果が出るとは限らない」という不確実性そのものです。
ペナントレースは143試合の長丁場です。多少の連敗があっても、総合力で上回るチームが最後には上に立ちます。阪神が連覇できたのは、まさにこの「総合力」で他球団を上回ったからです。
ところがCSは、わずか6試合。しかもファイナルステージの阪神には1勝のアドバンテージがあるとはいえ、裏を返せば「3勝3敗でも突破できる」ルールの中で、相手は4勝しなければならない。数字上は阪神有利です。それでも不安が消えないのは、私たちが過去に「数字どおりにいかない秋」を何度も見てきたからでしょう。
つまり問題の本質は、相手の強さではなく、「長期戦の強さ」と「短期戦の強さ」が別物であるという事実にあります。そして、その違いを理解しておくだけで、不安の大部分は「見どころ」に変わります。
怖さの正体がわかれば、怖さは観戦の楽しみに変わります。
不安の原因①:優勝決定からの「ブランク」と試合勘
一つ目の原因は、試合間隔の空きです。
阪神は10月3日に優勝を決めてから、CSファイナル開幕まで実戦から遠ざかる期間がありました。一方のDeNAは、10月10日・11日のファーストステージで巨人に2連勝(2-1、4-1)し、真剣勝負の緊張感をそのまま持ち込んできます。
これは毎年のように議論される問題です。リーグ優勝チームは体を休められる反面、生きたボールの速さや、1点を争う緊張感から離れてしまう。特に打者は「タイミング」が命ですから、1打席目、2打席目の入り方が鈍くなりやすいのです。
ただし、ここは冷静に見ておきたいところです。昨年2025年のCSファイナルも、阪神は同じようにブランク明けでDeNAを迎え撃ちましたが、初戦を2-0で取り、そのまま一気に突破しました。2023年の岡田監督時代も、ファイナルを3連勝で駆け抜けて38年ぶりの日本一につなげています。
ブランクは「言い訳」にも「心配の種」にもなりますが、阪神はここ数年それを何度も乗り越えてきたチームです。
不安の原因②:DeNAという「勢いのある挑戦者」の怖さ
二つ目の原因は、相手がDeNAであることです。
DeNAはこれで3年連続のファイナルステージ進出。CSという舞台に慣れているチームです。そして阪神ファンにとって忘れられないのが、2024年のファーストステージ。3位のDeNAに甲子園で2連敗し、そのDeNAが最後は日本一まで駆け上がりました。「下克上」を実際にやってのけた経験を持つチームなのです。
短期決戦では、レギュラーシーズンの順位よりも「今、波に乗っているか」が大きくものを言います。巨人を2試合連続で退けた今のDeNAは、まさにその波の上にいます。
ただ、勢いには必ず「波」があります。ファーストステージで投手を総動員して勝ち上がったチームは、ファイナルの序盤で投手のやりくりに苦しむことが多い。だからこそ、阪神にとっては第1戦・第2戦で主導権を握れるかどうかが最大のポイントになります。
相手の勢いを怖がるより、「その勢いをどこで止めるか」を見る方が、ずっと面白いです。
不安の原因③:「去年の日本シリーズ」の記憶
三つ目の原因は、私たちファン自身の心の中にあります。
昨年、阪神はCSを勝ち抜きながら、日本シリーズでソフトバンクに敗れました。あの悔しさは、選手だけでなく私たちファンの心にも残っています。
人間は、成功体験よりも失敗体験を強く覚える生き物です。だから「また最後に負けるのでは」という感覚が、CSの段階から顔を出してしまう。でも、それは今年のチームの話ではありません。去年の記憶が、今年の不安を勝手に大きくしているだけなのです。
藤川球児監督は就任2年目。昨年の悔しさを一番知っているのは、ほかならぬ監督と選手たちです。その悔しさを糧に、今年は球団史上初の連覇を成し遂げた。去年の悔しさは、今年のチームにとって「傷」ではなく「燃料」になっていると私は感じています。
過去の負けを恐れるより、過去の負けから立ち上がったチームを信じましょう。
解決方法:短期決戦を「味わい尽くす」観戦の視点
では、この6試合をどう見れば、不安を力に変えられるのでしょうか。私が40年の観戦で身につけた、短期決戦の見方を3つご紹介します。
視点1:「1勝のアドバンテージ」を正しく理解する
ファイナルステージは6試合制で、阪神は最初から1勝を持っています。つまり、阪神は残り5試合で3勝すればいいのです。仮に第1戦を落としても、まだ1勝1敗。決して慌てる場面ではありません。
この計算を頭に入れておくだけで、1敗ごとに「もうダメだ」と落ち込むことがなくなります。短期決戦で一番もったいないのは、1試合の結果で感情を使い果たしてしまうことです。
視点2:「試合の流れが変わる瞬間」に注目する
短期決戦は、ホームランよりも「小さなプレー」で流れが変わります。
- 先頭打者の四球
- 送りバントの成功・失敗
- 外野からの好返球
- 継投のタイミング
たとえば昨年のCSファイナル第1戦、阪神の先制点は、近本選手の出塁、中野選手の送りバント、そして二塁走者の三盗から生まれました。派手さはないけれど、短期決戦らしい「1点の取り方」です。こうした場面に目を向けると、試合の見え方がガラリと変わります。
視点3:「負けた試合」から次の試合の見どころを探す
もし1試合落としても、そこで終わりではありません。「どの投手が打たれたか」「どの打者が当たっているか」を確認しておくと、次の試合の見どころが見えてきます。
負けた夜こそ、次の試合を一番楽しみにできる時間です。
勝敗だけを追うと苦しくなりますが、流れを追うと短期決戦はこの上なく面白くなります。
今日からできる具体アクション
最後に、明日の開幕までに、そしてシリーズ期間中に、ファンとして今日からできることをまとめます。
① 日程と放送をカレンダーに入れておく
ファイナルステージは10月14日(水)から甲子園で始まります。平日は18時、土日は14時開始が基本です。雨天時は順延になるので、公式サイトで最新情報を確認する習慣をつけておきましょう。日本シリーズは10月24日開幕予定です。
② チケットは公式ルートを最優先に
SNSやチケット売買サイトには、定価を大きく上回る出品も見られます。トラブルを避けるためにも、球団公式のリセールや正規販売を優先してください。ライブビューイングという選択肢もあります。
③ 「1勝アドバンテージ込みの星勘定」をメモしておく
「阪神◯勝◯敗(アドバンテージ含む)」と、毎試合後に書き留めておくだけで、気持ちが驚くほど落ち着きます。数字は、不安を客観視させてくれる最高の道具です。
④ 負けた日はSNSから少し距離を置く
短期決戦の負けた夜は、SNSにネガティブな言葉があふれがちです。そういう日は、ハイライト映像だけ見て早めに休みましょう。翌日、新しい気持ちで応援できます。
⑤ 一緒に応援する仲間に声をかける
家族、職場の虎党仲間、昔の野球仲間。「明日からCSやで」と一言声をかけるだけで、応援は何倍も楽しくなります。40年応援してきて思うのは、勝った日の喜びも負けた日の悔しさも、誰かと分かち合うから味わい深くなるということです。
応援に「正解」はありませんが、自分の心を守りながら応援することは、長く虎党を続ける秘訣です。
おわりに:連覇のチームを、最後まで信じよう
40年前、阪神が「優勝争いをするのが当たり前」のチームになるなんて、私は想像もしていませんでした。暗黒時代と呼ばれた長いトンネルも、何度もあと一歩で涙をのんだ秋も、全部知っています。
だからこそ、今の阪神が「連覇したチーム」として甲子園でCSを迎えることが、どれほど特別なことか、身にしみて感じます。
不安があっていいんです。それは本気で応援している証拠ですから。でも明日の18時、甲子園に六甲おろしが響いたら、その不安はいったん脇に置いて、目の前の一球に声を枯らしましょう。
11月23日、御堂筋のパレードを「日本一」の看板とともに迎えるために。
さあ、短期決戦、一緒に楽しみ切りましょう。


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